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ゆとりコンサル徒然日記

外資系戦略コンサルに就職した若手の日常

論点思考・仮説思考って何?意味あるの?

"論点"・"仮説"、、、。

コンサルファームに行くと、耳が腐る程聞く言葉であろう。

それだけよく口にされるのには当然理由があり、コンサルファームで働く上でこの2つは外せない概念である。コンサルの質を決める大半は論点思考・仮説思考に集約されているといっても過言ではないと思う。

自身にとっても重要な位置づけの記事となるため、初稿を書いた後に適宜更新する予定。

 

論点思考・仮説思考って何?

そもそも論点・仮説とは何か。

論点:
国や企業や個人、それぞれが解くべき問題。ここで重要なのは、解くべき問題は対象によって異なること、問題の中でも解く価値がある・意味があるものを論点と呼ぶことだろう。

例えば、痩せている人にとっては、"いかに低炭水化物の食事を取るか?"は全くもって解くべき問題たりえない。一方、太っている人であっても、低炭水化物を既に実施していて効果が無い人であれば同様に意味の無い問いであり、"現環境下で出来る最も効果的な運動方法は何か?"という問いの方が有意義であろう。

例えが分かりにくくて恐縮であるが、論点思考とは、対象にとっての問題の内、真に解くべき課題を見極め、特定する思考法である。

仮説:

論点に対する仮の答え。"売上減少の要因は何か?"という問いに対して、"既存顧客の剥落"だとか、"新規顧客の取り込み不足"だとか、"製品単価の過度な値下げ"だとか。ここで重要なのは、情報収集に奔走する前に、問いに対して、自分なりの答えをその場で一旦作るということ。仮説思考とは、この様に、課題に対して仮の結論を常に用意してから作業に入る思考法である。

 

論点思考・仮説思考が出来ると何がいいの?

一見高尚な考え方の様に見えるし、コンサル以外の仕事に意味があるのか?と思われるかもしれないこれらの思考法。だが、その他の仕事や日常生活にも非常に有用であると思う。

まず、論点が絞りこまれることで、本当に解決すべき課題・答えるべき問いを明確に出来る。どの仕事でもそうだと思うが、会社の抱える課題なんぞ無数に存在するし、人間の抱える悩みも無数に存在する。当然それらを全部即時に解決できるなら良いが、実際は優先順位を付けて、重要なものから解決するのが筋だろう。例えば、住宅街にあるクリーニング店舗を想定した際、"店舗売上減少の課題は何か?"という問いに対して、"立地は良いか"という論点を設定したとしよう。それに答えを出すことは出来るかもしれないが、仮に悪かったとしても解決は店舗レベルでは難しい。すなわち、問いを設定してその検証にかけた時間は全くもってムダである。同様に、"販促チラシの量は足りているか"という論点を考えてみても、検証自体は可能であるが、住宅街という特性に鑑みても固定客が客層の大半であり、全体の課題へのインパクトは薄いであろう。時間制約がある中で、解くべき課題(検証が可能でインパクトの大きい課題)を最初に絞り込む、ということはどんな業種・どんな人間であろうと共通に重要なのである。

また、仮説思考も同様に、解の質・解を出すまでのスピードが飛躍的に高まる。ある問いに対して、仮説の無い状態で一から十まで調べると、同様にいくら時間があっても足りない。一方で、最初の精度は低くても仮説があると調べる方向性は明確になるし、出てきた情報を元にその質を高めることも容易になる。例えば、"なぜ女性にモテないか?"という問いを考えた際に、やたらめったら周りの女性に聞いても、いまいち解が出ないかもしれない。予め、"見た目は悪くないが話すと絶望的に面白くないからモテない"と仮説を付けた場合、"他の男性と写真だけ並べてネットで評価してもらい、一方で知人女性に見た目・話の面白さを分けてそれぞれ評価してもらう"という風に方向性を絞った検証が可能になるし、仮説が合っていた場合よりビビッドに結果が示せるだろう。

 

論点思考・仮説思考の力を高めるには?

では、そういった思考法を養うにはどうすれば良いのか?結論から言うが、どちらも一朝一夕には身に付かないものだと思っている。論点の設定にしろそれに答える仮説の構築にしろ、業界知見や自身の引き出しがモノを言う部分もあるからだ(論点の対象への重み、ある論点に対する答えの性質など)。

但しその前提がある場合でも、意識するのとしないのとでは思考力には如実な差が生まれる。コンサル業界での経験を踏まえて、それぞれの思考力を高める上でのTips・考え方を最後にご紹介する。

論点思考

  • 与えられた問いを疑う
    会社や研究活動において与えられる課題。それが本当に意味のある課題なのかを疑うクセは非常に重要である。疑う上で重要なのは、So What?とWhy So?を課題に対して繰り返すことだ。"売上向上の為に集客をてこ入れしろと言われたが、なぜ集客なのか?他に決定的な要因は無いのか?"、"集客をてこ入れしたところで何が変わるのか?"等。とにかく問いを一度客観的に疑ってみること。
  • 状況を視覚化する
    今置かれている自分や会社の状況を周囲との関係と共に絵にしてみることで、重要な問題が見えてくることが多い。どのプロセスが鍵となっているか・どのステークホルダーが重大な影響を及ぼしているか 等。
  • 視野・視座・視点を変える(本からの受け売りではあるが・・・)
    真に重要な論点は、依頼者やいつもの自分の視点から一歩はなれた際に見えてくることが多い。その一歩の離れ方として、以下の様な物事の見方をすることが重要である。「自身と反対の立場から考える」「自身より2つ上のポジションから考える」「普段見ない領域について考える」「時間軸を伸ばして/縮めて考える」「物事の最終形を考える」「幾つかの要素を固定して考える」「極端な事例を考える」等。方法は多岐に渡るが、いずれも事象の見方・視点を変えて論点を考えることである。

仮説思考

  • 手を動かす前に考える習慣をつける
    何でもかんでも作業に埋没する前に、一度仮説を作ることをクセにする。その内、問題に対して仮説が無いのが気持ち悪くなり、嫌でも仮説を考えるようになる。余談ではあるが、研究活動でも同じで、アメリカやイギリスの一流大学では、まず論文のメインメッセージを全て書いてから、実際に個々の実験デザインや実証作業を行うという。
  • ストーリーで考える
    論点思考の「物事の最終形を考える」に非常に似た考え方であるが、論点に対して全ての解がある状態(自分の理想形でも良い)を一度考えてみる。論点に対しての解を一本串を通して流れるように説明できれば、その個々の説明が論点に対する仮説となる。仮説を考えにくい論点であっても、周囲の論点と整合することで、自ずと仮説が出てくることが多い。また、ストーリーとして最初に組み上げることで、論点設計の妥当性や仮説の面白さ・深さを高めることにも繋がる。
  • インプットを増やしアナロジーを試みる
    いずれ別記事でも書こうと思うが、アナロジーというのはコンサルタントにとって非常に重要な能力である。インプットが何も無い状態で面白い仮説を考えるのには限界があり、インプットを増やすことは仮説の質を高める上で非常に重要である。但し貯めるだけでは意味が無く、それらを活かす上でアナロジーが大切となってくる。他業界でのトレンドはこの業界でも起こっているのでは、他企業のこの成長仮説は今回のクライアントにもヒントになるのでは、、この様に一度自分の経験・引き出しを漁ってみるのは仮説思考の進化に繋がる。

 

最後に、論点思考・仮説思考力を高める上でおすすめの書籍を紹介する。

どちらもコンサル業界で圧倒的に優秀な方が書かれた書籍であり、具体例も交えて思考力を高める手法が紹介されている為、興味をもたれた方は是非一読あれ。

 

論点思考

論点思考

 

 BCGの内田さんの本。論点思考とは何か、論点思考実践の為のアプローチが丁寧・平易に書かれており、非常に読みやすい。論点を出す上で、"当たりをつける"ことの重要性を非常に熱く説かれている。

 

仮説思考 BCG流 問題発見・解決の発想法

仮説思考 BCG流 問題発見・解決の発想法

 

 こちらは論点思考の後に読むと良いだろう。論点に対する問いを考える上での仮説思考の重要性・アプローチが同様に具体例込みで紹介されている。特に意味のある仮説、ということを考える上では非常に気づきのある書籍。

 

イシューからはじめよ―知的生産の「シンプルな本質」

イシューからはじめよ―知的生産の「シンプルな本質」

 

 ケース面接の記事でも紹介したが、大好きな本なのでこちらでも。笑
筆者が理系院生だった時に読んで感動した本。コンサル業界とは縁遠い方にも、当業界とそれ以外を繋ぐ鎖の様な位置づけの本であり、学びは非常に大きいと思われる。

特に"犬の道"という視点は斬新で、かつ多くの日系社会人や研究者が陥っている問題だと思う。但し、個人的見解では誰しも一度は犬の道を通ることは避けられず、解の質だけではなくイシュー度も経験によって向上が可能だと思う。

 

以上

ジョブ面接での振舞い方

久しぶりの更新である今回は、ジョブ面接について書きたいと思う。

ジョブ面接はコンサル会社の新卒採用においてよく実施される形式の面接で、コンサル以外にもベンチャー企業や外資/国内金融機関等で広く行われている。

筆者の4社程度外資コンサルのジョブ面接を受けた経験・現在の会社でのジョブ採用に携わった経験から、ジョブ面接でのポイントを記す。

主に新卒向けの内容で、中途の方にはあまり役に立たないエントリーとなり恐縮です。。。

 

ジョブ面接とは何か?

基本的には、ある業界の企業がクライアントだという仮定を与えられ、当該企業が抱える課題を分析し、成長の為の解を作る、という実際のコンサルティングワーク同様の内容に取組む面接である。

ファームによって形式は異なり、特に個人戦か団体戦かで大きく戦い方も異なるので注意。

  • 個人戦(ATK・RB)
  • 団体戦(Mck・BCG・RB)

一般的なスケジュールとしては以下であろうか。

Day1:会社の簡単な説明を経た後、ジョブ課題を与えられワークスタート

Day2~3:ワークの合間に社員とのディスカッションや人事・パートナーとの面談

Day4:ワークの結果をパートナー・採用チームの前でプレゼン。終了後、参加者・社員交えディナー

  • お題となる企業
    学生でも想起しやすいよう、非常に著名なB2C企業が選ばれることが多い。私の場合は、コカコーラ・資生堂アサヒビール等であった。基本的なIR資料やマーケットレポートは与えられ、社内ライブラリーも使用させてもらえるところが多い為、あまり前提知識で差は付かないよう配慮されている。
  • お題となるテーマ
    ケース面接で良くある「売上を2倍にする」、「業界1番手になる」、の様な目標設定型や、「対象会社に適した新規事業を立案する」等の事業立案系テーマが主。後者の場合も数値目標を無視することは出来ないので、いずれにせよ数値への落とし込みは求められる。

ジョブ面接はコンサル志望者にはもちろん避けて通れない門であるが、コンサル以外の業界を志す学生にとっても非常に参加の意味は大きい為おすすめしたい。

  • 優秀な学生と繋がれる
    コンサルファームの選考は通常日系企業よりも早めに行われる為、(経団連さんスンマセン)就職活動に対して意識が高い学生が集結する。選考の難易度もある為、意識が高い学生の中でもジョブに集うのは優秀層に限定される為、就職活動を共に戦う仲間作りに最適である。
    (筆者がコンサル会社のジョブに参加したのはWinterからだったのだが、自分以外の参加者は全員別ファームのジョブ経験者で、顔見知りであった)
  • "コンサルのJobに参加した"というハクがつく
    なぜ多くの企業が他企業でのインターン経験を書かせるのか?を考えると自明だが、難関企業でのインターン経験は、学歴同様その応募者の適正を測る指標となるのである。コンサル業界でのインターン経験は特に金融や商社といった業界ではウケが良く(メーカーは外資以外にはあまりウケない)、面接でポロっと口に出すだけで相当優位に立てる。"マッキンゼーのJobにも参加したんですが、社風や考え方が自分には合わず・・・(舌ペロ)"という風に踏み台にしてあげればよいのだ。

 

ジョブ面接で見ているポイント

基本的なケース面接と同様で、とにかく地頭の良さと振る舞い(コミュニケーション力)である。

60分1発の、ある意味運で乗り越えられるケース面接と異なり、複数日に渡って能力を精査されるジョブ面接では、勢いやノリで地頭力を誤魔化すことは出来ない。

実際に弊社のジョブ面接で重視しているポイントを書き下すと以下である。

  • 与えられた情報を元に論理的に思考出来るか
    思いつきではなく、与えられた情報を元に自ら必要な情報を集め、筋の通った解を作れるか、は前提として重要な能力である。
  • 議論を進化させられるか
    ケース面接との違いは、社員との議論が毎日複数回あるという点であろう。社員からのロジックの詰めやインプットに対して、適切に切り返したり、受け止めて解を進化させられるか、も同様に重要である。
  • 自身の考えを明瞭に伝えられるか
    考えたことも人に伝えられないと意味が無い。自身の考えを、議論に初参加の人間に対しても理路整然と喋って伝えられるか。もともと用意してきた内容のアウトプットに加え、質疑応答でのインプットの咀嚼・クリアな返答も求められる。
  • (特に団体戦)チームメンバーに対しての協調性とオーナーシップがあるか
    団体戦は個人戦よりも確実に厄介であり難易度が高い(と筆者は考える)。難関な面接を突破してきたクオリティの高いチームメンバーは議論のパートナーとして有効であるが、逆に言えばそのパートナーと同等、或いはそれ以上の価値を面接官に認めさせなければ突破は無いからだ。団体戦においては、チームメンバーを上手く活用しアウトプットの質を高めているか、かつその中で埋もれずに"個"を発信できているか、の双方が重視される。

 

ジョブ面接を乗り切る為に

最後に、ジョブ面接を乗り切る為の筆者なりのポイントをいくつか挙げてみる。これを守れば必ず採用、という訳ではもちろんないが、空手で望むよりはうまく立ち回れるのではと思う。

 

最初に情報収集に溺れない

初日に重要なポイントは、全体の枠を捉える為の初期情報収集である。

所謂3C分析に取組むことになろうが、情報収集に夢中になりすぎて無為に時間を過ごすことは避けたい。業界・市場の特性や、その中での自社の位置づけ(強み・弱み含む)、所謂勝ち組企業がどのように勝っているのか、を何となく把握出来ていれば十分である。競合企業の財務指標を狂ったように眺めたり、市場のサブセグメントの推移を十年二十年とさかのぼることには価値が無い。

面接官との議論前には、必ず自分の考えと議論のポイントを明確に

情報収集に溺れるよりも、初期的な情報を踏まえ自分なりに構築した対象企業の課題や成長の方向性について、面接官との議論用の考えをまとめることが重要である。面接官は学生の評価という役割に加えて、ディスカッションパートナーという役割も与えられている為、使えるものは積極的に使う方が良い。ぎりぎりまで情報集めに奔走して、"XXXという情報が分かりました!"という報告をする位なら、"XXXという情報を踏まえると、対象会社の強みはYYYという部分にあって、今ZZZを理由に勝っている競合と差別化しつつ成長が出来ると思ってます。いかがでしょう?"という議論の方が、多少ファクトの抑えが甘くても100倍評価される。但しあくまで自分の考えあっての議論であり、"何もわからないんですがどうしたらいいですか?"は当たり前ながら大きな減点対象である。

最終発表で出てくるパートナーの前でのプレゼンも評価の上で非常に重要であるが、当然プレゼンのみで合否を決めることは無く、ワーク中の評価も非常に重要なポーションを占める。団体戦の場合など、プレゼンで上手く自己をアピールできなかった場合でも、プレゼン後、面接官の口ぞえによって合格判定に至ることも多い。

足でファクトを稼ぐ

冒頭にも書いたが、お題となる企業はB2C企業であることが多く、場合によっては実際に店舗に行ってヒアリングをする、写真を撮る等の泥臭い動きが評価される。

かなりTips的にはなるが、実際にスタンスを取る際にも、やはり現場の声があると説得力が増すし、面接官から見ても、コンサルとしての素養・適正がある、と見られることが多い。

 

ジョブに参加できる時点で相当に優秀な学生であることは間違いない為、ジョブ面接で落選しても悲嘆にくれることはない。しかし、折角参加できたのなら、突破を目指したいところである。その為に上記のTipsがお役に立てば幸いである。

ケース面接を突破するには?新卒/中途の採用面接・対策

1~2年ほど前から採用チームに入ったこともあり、新卒・中途の採用面接を担当することも多くなった。

今回は、戦略コンサル会社がどういった人間を求めているか・その資質を測る為に面接で何を重視しているかについてフォーカスして書きたい。

また、海千山千あるコンサル就活支援本(ケース面接対策本)の中でも、自身の就職活動も踏まえ特に有用だと思った書籍を併せてご紹介する。

 

頭の良さは前提条件として必須

会社として応募者に求める能力は、ファームに依らず概ね似通っているかと思う。つらつらと挙げると、ロジカルシンキング・イシューアナリシス・対外的コミュニケーション力・協調性・リーダーシップ等であろう。

但し、採用の場においてそれぞれの位置づけは異なる。

結論から言うと、頭の良さ(ロジカルシンキング・イシューアナリシス)が前提として必須であり、逆に言うとそれが無い限りはどんなに素晴らしい人材であっても採用しない

いわば予選として頭の良さを見ており、それが無い限りはリーチ=マイケル並のリーダーシップがあろうが、おぎやはぎ矢作並のコミュ力があろうが予選落ちなのである。

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こうした予選を通過して初めて、副次的能力の部分を評価する。極論、クソみたいな性格だが頭は抜群に切れる人間Aと、リーダーシップ・協調性申し分無いものの脳みそスポンジボブの人間Bが居た場合、間違いなく前者のAを採用する。

(実際はその様な究極の二択を迫られる場合は少なく、同等程度に頭が切れる応募者に対して、どちらが会社にフィットしそうか・クライアントにより成熟した振る舞いが出来そうかなどのソフトな部分で合否を判断する場合が多い。)

 

近年、特に新卒採用においては、皆が皆国際協力団体の代表だったり、NPOに参画していたりとどうしても経歴の部分、ソフトの部分の加点を目指そうとするきらいがある様に感じるが、実際に何の経歴が無くとも前提としての頭の良さがあり、まともに人とコミュニケーションがあれば採用されるので、装飾ではない前提条件の部分を磨きこんで頂きたい所存である。

思考の拡張性・ディスカッション能力を問う

そうした頭の良さを図る上で、やはりケース面接は欠かせない。新卒だろうが中途だろうが、国内採用だろうが海外採用だろうが、必ず一度はケース面接を実施する。

上述の求める能力とも関係するが、結果として見た場合、面接対象者の95%以上は、ケース面接の出来で判断している。

では、頭の良さ、というある種抽象的な要素を、ケース面接の中でどの様に図っているのか。

一般的なケース面接の流れとして、①題材の定義・理解、②分析・回答作成、③コミュニケーションの3つに分かれるが、私は①・③をとにかく重視して見るようにしている。

  • ①題材の定義・理解

そもそも近年は巷にケース対策本も溢れており、"スタバの1年間の売上は?"なんて質問を出そうものなら、理路整然と半ば機械的に回答出来る応募者も非常に多いことだろう。そうなった場合、真に頭が良い人間と、ケース本を暗記してきた人間の見極めが出来ないリスクがある為、非常にまずい。

そのリスクを排除すべく、ケースの対象業界・領域を多少ニッチなものに振ることが多い。

例えば、ホームセンターの年間売上、の様に業界自体をずらしたり、東海道新幹線の途中下車人数、など求める対象をよく聞かれる売上や乗客数からずらしたり、といった具合である。

あくまで、題材は消費者として提供価値・利用シーンが想起できる範囲であるべきだが、ド直球な題材は避けるということだ。

そうしたケースは、一見初見ではあるものの、他のケースで培った考え方が転用しうる場合が多い為、優秀な応募者(結果として採用に至る応募者)は思考を拡張して筋の良いアプローチに至る場合が多い。

  • ③コミュニケーション

いざ、アプローチが決まった後は、計算の正しさや打ち手を考える際の筋の良さなどは勿論あるのだが、実際の面接官との回答のコミュニケーションによって頭の良さを推し量る部分が大きい。具体的には、ディスカッションの中で回答が進化するか否かを見ている。

機械的に回答を暗記してきた応募者は、考え方から結果まで明確に説明をしてくれるのだが、ことディスカッションで回答が進化する場合が極めて少ない。

逆に優秀な応募者の場合は、ディスカッション開始時の回答の質が必ずしも高くなくとも、適切なフレームやヒントを提示さえすれば、ディスカッションの内容を踏まえ回答が進化し、最後にはかなり質の高いアウトプットとなることが殆どだ。

 

①にも③にも共通して言えるが、決められたルートを正しく走れるか、ということよりも、ルートが無い中でいかに正しい道を引けるか、という点を見ている。

実際のプロジェクトにおいても勿論後者のケースが殆どで、他業界や他社の事例のアナロジー、チーム・クライアントとのコミュニケーションの中でのアウトプットの進化は非常に重要である。

どういう対策をするべきなのか

では、面接を受ける側としてどういった対策を取るべきなのか。

機械的暗記が悪かのように書いたが、最低限のインプット・基礎固めは重要である。0から1は生まれない。

大事なのは、基礎を積んだ上で、その基礎の応用性を高めること・基礎を違う角度から見つめることだと思う。

後段で面接に備えて読むべき本をご紹介するが、私はどんな対策本を読むにしろ、とにかく上記を意識しながらケース対策をしていた。

具体的には、

  • ある問題の解き方が、どの様な問題にも当てはまるか可能な限り極端なものまで幅出ししてみる
  • 同じ問題を、別の考え方・フレームワークで解くとどうなるか考えて見る

1点目はどんな問題が来てもアナロジーを効かせる訓練になるし、2点目はディスカッションの中で与えられるインプットの背景理解・インプットを踏まえた進化の訓練になる。

この対策も必ずしも最善ではないかもしれないが、想定していない状況への対応力を高めるという意味で、ただ機械的にケース問題を解くよりは100倍マシだと思うので是非お試しあれ(少なくとも理系でビジネスのことを何も知らなかった筆者にとっては有用だった)。

【参考】お勧め書籍

コンサルの面接対策本は色々読んだが、中でも「これは役に立つ」と思った本を以下に紹介する。

 「東大生が書いた...」シリーズはあまり個人的には好きではないが、この2冊は良書だと思う。所謂基礎のインプットの一歩目として非常に有用。切口は必ずしも意味が無い/薄いものもあったりするので、逆に言うと同じ問題で切口を変えてみる練習にも。

 

過去問で鍛える地頭力 外資系コンサルの面接試験問題

過去問で鍛える地頭力 外資系コンサルの面接試験問題

 

「東大生~」シリーズは読んだ、という中級者向け。より思考プロセスが明確に描写されている為、どういう風に論点の構造を捉えたのか、その中でなぜこのアプローチに至ったのか、を理解しやすい。単純なケースと切口ではなく、この間のプロセスがあることで、より多様な問題への対応力が上がる。

 

イシューからはじめよ―知的生産の「シンプルな本質」

イシューからはじめよ―知的生産の「シンプルな本質」

 

 最後に紹介する本は、ケース面接を直接的に題材とした本ではない(むしろ、内定~入社直後に読む方がインパクトは大きい)が、「覚えること」ではなく「深い回答をすること」を目的にした場合、最良の本である。「なんとなくの試算や打ち手出しはできるんだけど、いまいち筋が良くない気がする」という方に是非読んで欲しい一冊。

終わりに

上で偉そうに色々述べたが、私は相当就職活動で苦戦したクチである。ケース面接が何かも知らず、全くイケてないアウトプットで落とされ、機械的にケース回答を覚えたものの、ちょっと問題を変えられると対応できず落とされ、自分なりにどんな問題でも回答を作れるようになったものの、考えの広がりや深みを求められるディスカッションで落とされ・・・

これからコンサル業界への就職・転職を目指す方にとって、この記事が1mmでも助けになれば幸いである。

 

Up or Outって本当?コンサルの評価制度について

外資コンサル業界に入社を志す人間にとって、不安の一つであるのがUp or Out。極端に言えば、"昇進するか、さもなければ辞めろ"という文化。

"そもそも外資コンサルにおける人材評価ってどうなってるの?"・"実際にUp or Outってあるの?"...本日の記事ではそういった疑問に対したお答えできればと思う。

 

外資コンサルにおける人材評価制度は原則極めてフラット

多くの企業で採られている人材評価制度は、「ある職員の上長が定期的に当該職員の働きぶりを幾つかの指標に基づいて評価する」、というものであるかと思う。

こうした評価制度を採る会社では、

  • 極めて抽象的・良く分からない指標が設定されている(例:誠実さ)
  • 上長の主観や当該職員との人間性が過度に重視される

という評価指標・評価者に起因する問題が稀に起こる(事実、上記解消の為の人事評価制度再構築のプロジェクトは多い)。

そうした場合、優秀な人材=評価される人材、という図式が成り立たず、結果として人材の流出や会社としての機能不全につながりうる。

 

人材が何よりの資産であるコンサル会社にとっては、上記は絶対に避けるべき事態であり、人材評価制度も可能な限りフラットなものになるように仕組みが担保されている。

まず、評価指標は(当たり前だが)そもそも業務に必要な要素に限定・集約されている(問題解決力やアウトプットのクオリティ、クライアントコミュニケーションやチームマネジメント等)。加えて、そうした要素を的確に評価する為に、各々の基準が細かく定義・ブレークダウンされている。論理的思考力であれば、構造化や仮説思考などのサブ項目に分かれ、それぞれで○○が出来れば最高、○○は出来ないが△△が出来れば中、といった具合である。

重ねて当たり前のことではあるのだが、本当に馬鹿でも評価出来るレベルで定義されている為、評価者の理解・捉え方による評価のブレが起きにくい。

また、評価者についても、上長にあたるオフィサー・PMのみならず、部下まで評価に加わる点(所謂360度評価)・プロジェクト単位の評価となる為、評価者が流動的に変わる点によって、特定個人の主観に寄った評価を避ける仕組みとなっている。

これらの徹底によって、フラットな評価が成され、結果として先輩より昇進の早い部下や、同じ役職の中での圧倒的な賞与の違いが生まれているのである。

 

但し、冒頭に「原則」と書いた通り、個人的にはこうした評価制度にも構造的な限界があると感じている。

ファームの中で年次が増すと、特定業界のプロジェクトに従事するケースが多くなってくる。そうすると、当然特定のオフィサー・特定のPMの下で働く割合が増す為、評価に与える当該上長の影響が非常に大きくなるのだ。どれだけ実力主義・結果手技と言われていても、個人の役割が固定化すればする程、真の意味でフラットな評価からは離れていくのは想像に難くない。

性善説に立ったUp or Outが成されている

こうした評価制度がある中、Up or Outの慣習は激しいのか。

私の入社前と現在を比較すると、「あることはあるが、相当ユルユル」というのが印象である。

Upに関しては、概ね入社前のイメージと変わりは無い。出来る人間は評価ミーティングのタイミングでどんどん昇進し毎年年収が何百万円も上がっていく一方、そうでない人間は同じポジションを何年も彷徨い、後輩の背中を見送る。

但し、Outに関しては、相当ぬるく、積極的にはやられていない(当然ファームにより差はあり、競争の激しい緑色のファームではかなり積極的と聞く)。

最低ランクの評価を取得した人間には次の評価のタイミングまでに相当な改善が求められ、そこで改善が見られない場合は首、という仕組みにはなっているが、実際に最低評価を取得する人間は殆どいないのが実情である。

そうは言っても低評価の人間は仕事が回ってこない(プロジェクトにアサインされない)ことも多く、所謂窓際社員的扱いになる。皆馬鹿ではなく、外の業界で通用する能力もある為、そうした人間は自ら外に出ていく。所謂性善説に立ったUp or Outである。

一年間で辞めていく社員は全体の一割程度いるものの、低評価を理由に出て行く人間はその一割にも満たず、優秀ゆえに外に活躍の機会を求め出て行く人間が圧倒的に多い。

そうした意味で、Up or Outについては、学生やその他業界の社会人の皆様が想像されるよりはいささかマイルドなのではと思う。

※私の友人やエージェントの話を聞くに、外資系金融業界の方がよっぽどシビアなUp or Outがなされている印象。

そもそも外資コンサルのOut=無能なのか?

外資コンサルにおいて高く評価されない人材やOutとみなされる人材が無能なのか、と言うと答えはNoである。

優秀・無能の定義にもよるが、その人物はあくまでコンサルという仕事に求められるケイパビリティが無かったというだけで、ビジネスにおける価値の出し方はそれ以外にも無数にある(論理的思考はからっきしだがコミュニケーション能力はバカ高い・チームマネジメントは全く出来ないが個人の商才は異常に高い、等)。

事実、コンサル会社でOutの烙印を押された元コンサルが、その後の人生で大成する事例も相当多い。

終わりに

外資コンサル業界における評価制度の実態についてご紹介したが、私はフラットな評価や、その結果としてのUp or Outには賛成の立場である(今の会社でも、その動きをより強めてほしいと思っている)。

仮にUp or Outの制度が存在しなかった場合、働く個人は価値が出ずもやもやしたまま時間という有限のリソースを浪費し、会社は必ずしも求める水準に満たない社員に給料を払い続ける、そこに生まれるのは不毛の構図そのものだ。

Up or Outの制度があることで、個人・会社の双方が、長期的視点で見た際に最良の選択肢を取ることを可能にしていると言っても過言ではない。

間違いなく日本には「Out」という言葉にネガティブな印象があるが、今後終身雇用の考え方の風化に伴いそういったイメージも払拭されていることを期待している。