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ゆとりコンサル徒然日記

外資系戦略コンサルに就職した若手の日常

論点思考・仮説思考って何?意味あるの?

コンサル 業界事情 思考法 論点思考 仮説思考

"論点"・"仮説"、、、。

コンサルファームに行くと、耳が腐る程聞く言葉であろう。

それだけよく口にされるのには当然理由があり、コンサルファームで働く上でこの2つは外せない概念である。コンサルの質を決める大半は論点思考・仮説思考に集約されているといっても過言ではないと思う。

自身にとっても重要な位置づけの記事となるため、初稿を書いた後に適宜更新する予定。

 

論点思考・仮説思考って何?

そもそも論点・仮説とは何か。

論点:
国や企業や個人、それぞれが解くべき問題。ここで重要なのは、解くべき問題は対象によって異なること、問題の中でも解く価値がある・意味があるものを論点と呼ぶことだろう。

例えば、痩せている人にとっては、"いかに低炭水化物の食事を取るか?"は全くもって解くべき問題たりえない。一方、太っている人であっても、低炭水化物を既に実施していて効果が無い人であれば同様に意味の無い問いであり、"現環境下で出来る最も効果的な運動方法は何か?"という問いの方が有意義であろう。

例えが分かりにくくて恐縮であるが、論点思考とは、対象にとっての問題の内、真に解くべき課題を見極め、特定する思考法である。

仮説:

論点に対する仮の答え。"売上減少の要因は何か?"という問いに対して、"既存顧客の剥落"だとか、"新規顧客の取り込み不足"だとか、"製品単価の過度な値下げ"だとか。ここで重要なのは、情報収集に奔走する前に、問いに対して、自分なりの答えをその場で一旦作るということ。仮説思考とは、この様に、課題に対して仮の結論を常に用意してから作業に入る思考法である。

 

論点思考・仮説思考が出来ると何がいいの?

一見高尚な考え方の様に見えるし、コンサル以外の仕事に意味があるのか?と思われるかもしれないこれらの思考法。だが、その他の仕事や日常生活にも非常に有用であると思う。

まず、論点が絞りこまれることで、本当に解決すべき課題・答えるべき問いを明確に出来る。どの仕事でもそうだと思うが、会社の抱える課題なんぞ無数に存在するし、人間の抱える悩みも無数に存在する。当然それらを全部即時に解決できるなら良いが、実際は優先順位を付けて、重要なものから解決するのが筋だろう。例えば、住宅街にあるクリーニング店舗を想定した際、"店舗売上減少の課題は何か?"という問いに対して、"立地は良いか"という論点を設定したとしよう。それに答えを出すことは出来るかもしれないが、仮に悪かったとしても解決は店舗レベルでは難しい。すなわち、問いを設定してその検証にかけた時間は全くもってムダである。同様に、"販促チラシの量は足りているか"という論点を考えてみても、検証自体は可能であるが、住宅街という特性に鑑みても固定客が客層の大半であり、全体の課題へのインパクトは薄いであろう。時間制約がある中で、解くべき課題(検証が可能でインパクトの大きい課題)を最初に絞り込む、ということはどんな業種・どんな人間であろうと共通に重要なのである。

また、仮説思考も同様に、解の質・解を出すまでのスピードが飛躍的に高まる。ある問いに対して、仮説の無い状態で一から十まで調べると、同様にいくら時間があっても足りない。一方で、最初の精度は低くても仮説があると調べる方向性は明確になるし、出てきた情報を元にその質を高めることも容易になる。例えば、"なぜ女性にモテないか?"という問いを考えた際に、やたらめったら周りの女性に聞いても、いまいち解が出ないかもしれない。予め、"見た目は悪くないが話すと絶望的に面白くないからモテない"と仮説を付けた場合、"他の男性と写真だけ並べてネットで評価してもらい、一方で知人女性に見た目・話の面白さを分けてそれぞれ評価してもらう"という風に方向性を絞った検証が可能になるし、仮説が合っていた場合よりビビッドに結果が示せるだろう。

 

論点思考・仮説思考の力を高めるには?

では、そういった思考法を養うにはどうすれば良いのか?結論から言うが、どちらも一朝一夕には身に付かないものだと思っている。論点の設定にしろそれに答える仮説の構築にしろ、業界知見や自身の引き出しがモノを言う部分もあるからだ(論点の対象への重み、ある論点に対する答えの性質など)。

但しその前提がある場合でも、意識するのとしないのとでは思考力には如実な差が生まれる。コンサル業界での経験を踏まえて、それぞれの思考力を高める上でのTips・考え方を最後にご紹介する。

論点思考

  • 与えられた問いを疑う
    会社や研究活動において与えられる課題。それが本当に意味のある課題なのかを疑うクセは非常に重要である。疑う上で重要なのは、So What?とWhy So?を課題に対して繰り返すことだ。"売上向上の為に集客をてこ入れしろと言われたが、なぜ集客なのか?他に決定的な要因は無いのか?"、"集客をてこ入れしたところで何が変わるのか?"等。とにかく問いを一度客観的に疑ってみること。
  • 状況を視覚化する
    今置かれている自分や会社の状況を周囲との関係と共に絵にしてみることで、重要な問題が見えてくることが多い。どのプロセスが鍵となっているか・どのステークホルダーが重大な影響を及ぼしているか 等。
  • 視野・視座・視点を変える(本からの受け売りではあるが・・・)
    真に重要な論点は、依頼者やいつもの自分の視点から一歩はなれた際に見えてくることが多い。その一歩の離れ方として、以下の様な物事の見方をすることが重要である。「自身と反対の立場から考える」「自身より2つ上のポジションから考える」「普段見ない領域について考える」「時間軸を伸ばして/縮めて考える」「物事の最終形を考える」「幾つかの要素を固定して考える」「極端な事例を考える」等。方法は多岐に渡るが、いずれも事象の見方・視点を変えて論点を考えることである。

仮説思考

  • 手を動かす前に考える習慣をつける
    何でもかんでも作業に埋没する前に、一度仮説を作ることをクセにする。その内、問題に対して仮説が無いのが気持ち悪くなり、嫌でも仮説を考えるようになる。余談ではあるが、研究活動でも同じで、アメリカやイギリスの一流大学では、まず論文のメインメッセージを全て書いてから、実際に個々の実験デザインや実証作業を行うという。
  • ストーリーで考える
    論点思考の「物事の最終形を考える」に非常に似た考え方であるが、論点に対して全ての解がある状態(自分の理想形でも良い)を一度考えてみる。論点に対しての解を一本串を通して流れるように説明できれば、その個々の説明が論点に対する仮説となる。仮説を考えにくい論点であっても、周囲の論点と整合することで、自ずと仮説が出てくることが多い。また、ストーリーとして最初に組み上げることで、論点設計の妥当性や仮説の面白さ・深さを高めることにも繋がる。
  • インプットを増やしアナロジーを試みる
    いずれ別記事でも書こうと思うが、アナロジーというのはコンサルタントにとって非常に重要な能力である。インプットが何も無い状態で面白い仮説を考えるのには限界があり、インプットを増やすことは仮説の質を高める上で非常に重要である。但し貯めるだけでは意味が無く、それらを活かす上でアナロジーが大切となってくる。他業界でのトレンドはこの業界でも起こっているのでは、他企業のこの成長仮説は今回のクライアントにもヒントになるのでは、、この様に一度自分の経験・引き出しを漁ってみるのは仮説思考の進化に繋がる。

 

最後に、論点思考・仮説思考力を高める上でおすすめの書籍を紹介する。

どちらもコンサル業界で圧倒的に優秀な方が書かれた書籍であり、具体例も交えて思考力を高める手法が紹介されている為、興味をもたれた方は是非一読あれ。

 

論点思考

論点思考

 

 BCGの内田さんの本。論点思考とは何か、論点思考実践の為のアプローチが丁寧・平易に書かれており、非常に読みやすい。論点を出す上で、"当たりをつける"ことの重要性を非常に熱く説かれている。

 

仮説思考 BCG流 問題発見・解決の発想法

仮説思考 BCG流 問題発見・解決の発想法

 

 こちらは論点思考の後に読むと良いだろう。論点に対する問いを考える上での仮説思考の重要性・アプローチが同様に具体例込みで紹介されている。特に意味のある仮説、ということを考える上では非常に気づきのある書籍。

 

イシューからはじめよ―知的生産の「シンプルな本質」

イシューからはじめよ―知的生産の「シンプルな本質」

 

 ケース面接の記事でも紹介したが、大好きな本なのでこちらでも。笑
筆者が理系院生だった時に読んで感動した本。コンサル業界とは縁遠い方にも、当業界とそれ以外を繋ぐ鎖の様な位置づけの本であり、学びは非常に大きいと思われる。

特に"犬の道"という視点は斬新で、かつ多くの日系社会人や研究者が陥っている問題だと思う。但し、個人的見解では誰しも一度は犬の道を通ることは避けられず、解の質だけではなくイシュー度も経験によって向上が可能だと思う。

 

以上